東京の一店舗で培った技術を、フィリピンの約25店舗へ
2011年、フィリピン・マニラに、とんかつ専門店「YABU: House of Katsu」が誕生しました。
とんかつ武信代々木上原店は、立ち上げに監修者として参加し、商品開発、食材選定、厨房設計、調理技術、スタッフ教育などを支援しました。
一店舗から始まったYABUは、2026年現在、KIWAMI内の店舗を含め、フィリピン国内で約25店舗へと広がっています。武信の役割も、開業時の技術指導から、調理品質や店舗運営の改善、人材育成、新商品・新業態の開発へと広がってきました。
現地の食文化や食材、設備、働く人々に合った方法を一緒につくる。それが、とんかつ武信の海外での仕事です。
※YABUはフィリピンの現地企業が所有・運営するブランドです。とんかつ武信および店主・武田和也は、監修、技術指導、店舗運営改善、人材育成などの支援に携わっています。
一本の電話から始まった、フィリピンとの出会い
2011年1月、とんかつ武信代々木上原店に、都内のホテルから一本の電話が入りました。
その日の昼営業が終わる頃、フィリピンから来日していた4人のお客様が来店。食事のあと、「フィリピンで本格的なとんかつ専門店を開きたい。武信に監修してもらえないだろうか」と相談を受けました。
当時、フィリピンは一度も訪れたことのない国でした。不安を感じる一方、自分たちの技術が海外でどこまで通用するのかを確かめたいと思い、マニラへ向かいました。
現地では、市場や商業施設、日本食レストランなどを視察しました。肉料理や揚げ物を好む食文化と、日本の専門店の品質やサービスを根付かせたいというパートナーの熱意に触れ、一緒に店をつくることを決意しました。
現地の食材で、美味しいとんかつをつくる
開業準備では、豚肉の品質、生パン粉の調達、揚げ油、厨房設備など、日本とは異なる条件に向き合いました。
大切にしたのは、「現地で安定して手に入る材料を、どう使えば最も美味しくできるか」という考え方です。
豚肉に合った仕込み方を考え、現地のベーカリーとパン粉用のパンを開発し、複数の油を比較。ソースや付け合わせも、お客様の好みを確かめながら作り上げました。
同時に、厨房の作業動線を整え、スタッフ研修を重ねました。現地に合わせて工夫しながら、とんかつ専門店として大切にしたい味と品質を追求しました。
2011年11月、YABU第1号店が開業
最初の出会いから約10か月後の2011年11月11日、マニラの「SM Megamall」にYABU第1号店が開業しました。
営業が始まると、混雑時の調理時間やスタッフの役割分担など、新たな課題が見えてきました。そのたびに現場を確認し、方法を試して改善することを、現地のチームと繰り返してきました。
YABUは現地のお客様やメディアの注目を集め、少しずつ店舗を拡大していきました。
料理を教える仕事から、仕組みをつくる仕事へ
店舗が増えるにつれて、個人の経験や感覚だけに頼らず、どの店舗でも品質を保てる仕組みが必要になりました。
肉の仕込み、衣の付け方、揚げ時間などを分かりやすい基準にし、その技術を次のスタッフへ伝える研修体制を整える。
武信の役割は、料理の作り方を教えることから、現地のチームが自ら人を育て、改善を続けられる仕組みづくりへと広がっています。